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 縄師-Ⅱ 中・高編
第5章  リョウと千鶴
「りほはね、自分だけで産んで宮下に見せつけようとしてた。そしたら武田が、俺の責任だから俺が中退して二人を養うって言ったもんだから、りほは、あと1年で卒業する武田を中退させちゃあ駄目だと思って実は、お腹の子は宮下の子だって打ち明けたの。

宮下に復讐するつもりで産んでやろうと思ったけど、途中でこんな男とは関わっちゃ駄目だって、赤ん坊を道具にしちゃあいけないって目が覚めて、家族で育てることにした。だからあなたに責任はないので学校はやめないで。噓をついててごめんなさいって別れたの」

「うわー。マジか。復讐のために子供産むとか、凄まじいな」

「でも気がついたから偉いよね。で、武田はね、リホの家に行って、家族の前で、子供には男親も要るから俺にならせてくださいって。宮下のイケメンとリホの賢さと俺の度胸があったら立派な左官屋の跡継ぎになる。次は俺の子供も産んでくれって、プロポーズしたらしいの。『はい。有り難うございます。このご恩は忘れません』って言って泣いてたリホの顔が、もの凄く美しかったって、その時リホの家に偶然居合わせた、カオリが言ってた」

「なんか、すげー美談になってるな」 
「うん。これはね武田の男気があったから美談になったよね。私、カオリからこの話聞いて、ほんとうにリョウで良かったって思ったの。リョウはいつも私のことを考えてくれるからね。私はリョウが大好きだよ」

「オウ。アリガト……俺もちづが好きだ……みんな俺達を親戚とか姉弟みたいに見てるけど、結婚を決めたらその前には彼女になってくれないかな」

「いいよ。今日から彼女になる。今からなる。はい、なったよ。あとは皆に宣言するだけ」

 俺は千鶴の言い方がおかしくて、クスクス笑いながらバーベキュウの準備をしている4人の大人を窓から覘いて見た。
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