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 縄師-Ⅱ 中・高編
第5章  リョウと千鶴
「いや、待てよ。そしたら今までみたいに、ちづんちに泊まりにいけなくならないか」

 母さん達は千鶴を娘のように扱うが、それは俺と姉弟という感覚だ。

 千鶴と取っ組み合いの喧嘩をしたとき、スカートなのに俺に馬乗りになって殴り続けるのを母さんは笑いながら見ていた。

 俺も千鶴も笑っていて、本当に仲の良い姉弟のように見えたと思う。だがあの時俺達はもう、裸で何度も抱き合っていて、別の意味でスカートを意識しなかったのだ。

 あとから俺が気がついて「ちづ。あんとき母さんの前でスカートの下、パンティだけで俺にまたがってたんだぞ」そう言ったら顔を真っ赤にして、「きゃー。ほんとだ。恥ずかしー」といって足をバタバタさせていた。

「ホントだ。今、彼と彼女になったらエッチができないように監視されるかも」

「さっき高2で母親ってビックリしたけど、俺達、考えたらもっとビックリされることやってるんだから」

「もし公表できたらリョウはエッチが天才的に上手な最年少記録だもんね」

「ちづだって感じる最年少記録かもだ。ともかく赤ん坊ができたら俺達全部の人生が変わるってことだからな」


 結局俺達は現状を維持することにして、どこかにでかけるときにだけ彼と彼女になることにした。

「リョウはどんな人にっていうか、何がしたいとかってあるの」

 幸せのことは置いといて、家庭を持つなら収入を得なくてはいけない。千鶴がそれを気に掛けるのは当然だ。

「始めるよー」という母親の声で、バーベキューのテーブルに向かいながら、

「答えはいつでもいいよ。でも早ければ早いほど実現の可能性は高くなると思うからね。そして私はそのなりたいことの実現を応援してあげられる。勿論拘束なんかしないしリョウはご主人様だからリョウは自由だよ」
 小声の早口で千鶴が言った。

 俺はいつか千鶴と結婚する。そう思ったら気持ちが大きくなった。

 『私はいつでもリョウのものなんだよ』。そう言ってくれた言葉が現実になった気がした。
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