パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 土井社長　～　神戸国際投資顧問会社の秘密

　　　　　　　　　第１章　土井社長　～　神戸国際投資顧問会社の秘密

　神戸市の東部に位置する御影（みかげ）は、六甲山麓に湧く良質な水に恵まれ、古くから酒造業が盛んな土地柄であったが、明治の終わり頃から関西財界の重鎮が次々とこの地に屋敷を構えたことから、阪神間でも有数の高級住宅街として発展し、今も落ち着いた風情を見せている。
　
　その一画に、昭和初期に流行したアールデコ様式の端正な美しさを見せる洋館が佇む。通りに面しては、「御影石」と呼ばれる地元産の花崗岩で築かれた門柱と石垣に、ナデシコをモチーフにした青銅鋳物の大きな門扉とフェンスが組み付けられている。ヒマラヤ杉や西洋楓の巨木の太い枝が覆いかぶさる門柱には、「神戸国際投資顧問会社」と記された真鍮プレートが光る。