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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第4章 オフィスメイド 二宮 由紀

 10日後の夕刻、和装バックを下げた由紀が、青山家から事前に届けられた鍵を使って、京都の屋敷に入った。屋敷のある、上京区の御所と鴨川に挟まれた辺りは、大通りから一歩路地に入ると、古い町屋が所々に残された、閑静な住宅街の佇まいを見せる。

 その夜、青山は、東京への出張帰りに新幹線を京都駅で降り、屋敷に向かった。玄関では、昭和初期に流行した菊模様の京友禅を着た由紀が、正座して出迎え、指を突いてお辞儀をした。 「お帰りなさいませ。ご主人様。」 由紀がそう言うと、青山は、 「やはり、由紀さんにお願いできて良かった。その着物、僕の好みを覚えてくれていたんだね。<ご主人様>の呼び方も。」 と言って、思わず頬を緩めた。

 「もう10年以上も前に頂いたこれが、丁度、今の季節に合いますので、着させていただきました。先日、会社にお見えの時に、私に席を外すように仰られたので、予感がしたんですよ。そうしたら、やはり、社長からこちらに伺うように言われて、とても嬉しかったんです。」

 「そんな気持ちでいてくれて、僕も嬉しいよ。」
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