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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第2章 オフィスメイド 神崎 愛実(めぐみ)

「私、社長からこちらに伺うようにお話があってから、高級旅館なんて、まして<離れ>のお座敷なんて初めてなので、不安で会社の先輩に相談したら、とりあえずの行儀作法を2日間特訓して下さったんです。あの・・・どこかできっと付け焼刃が剥がれますから、失礼があったらお許し下さい。」
「あははは・・・。そんな心配してたの。この旅館は明治のころから代々使っていてね。特に僕の祖父さんが、この松林の風情を気に入って、その中に<離れ>を建てさせてもらったんだけど、こういう本格的な和風建築は、僕たちだって不慣れなんだよ。世代も代わったしね。お行儀は気にしないで使っているから、愛実ちゃんも気楽にね。」
「有り難うございます。ちょっと安心したかな。」 愛実はそう言って、ポニーテールを揺らして朗らかに笑った。
「そうそう、愛実ちゃんは明るく朗らかが魅力なんだから、それでいいんだよ。それじゃあ・・・書類にサインが要るんだったね。」
「はい、早速ですが、よろしくお願いします。」 愛実は、茶封筒から書類を取り出して座卓の上に並べ、トートバッグから取り出したモンブランのマイスターシュテュックを伊集院に手渡した。サインを終えた書類を愛実に返してから、伊集院は 「それじゃあ、ここからは、オフィスメイドのモードに切り替えてもらうかな。」と、おどけた口調で言った。
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