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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第2章 オフィスメイド 神崎 愛実(めぐみ)

伊集院は、玄関と反対側の襖を開け、愛実を招き入れた。寝間があり、庭面には座敷から広縁が続いている。そして、部屋を横切った奥の重厚な木戸を引くと、板間の洗面所があり、レトロなガラス戸を通して、明るく広い風呂が見えた。
伊集院は、広縁と反対側の部屋奥の襖を指すと、「控の間にバッグを置くといいよ。僕は、先に風呂に入っているから。」 と言い置いて、洗面所に入っていった。控の間には、折りたたまれた寝具と、その脇に漆塗りの長竹籠が置かれていた。その中に、淡緑地に紺色の桔梗があしらわれた浴衣と、山吹色の半幅帯、ガーゼ地の肌襦袢、着付け用のクリップなどが取り揃えられていた。
愛実は、伊集院の意図を察して、浴衣の長竹籠に、トートバッグから取り出した化粧ポーチとバンスクリップを一緒に入れて、洗面所に持ち込んだ。そして、髪を上げて、洗面台の脇に積まれたフェイスタオルの一つを取って体の前を隠し、浴室に入った。浴室の壁には白タイルが貼られ、コンクリート地の床にはヒノキの<すのこ>が敷き詰められている。紀ノ川産の青石が積まれた広い岩風呂には、有馬温泉独特の、鉄分が強い茶褐色の湯が掛け流しになっていた。庭面は、全て縦長の大きなガラス窓になっており、露天の風情があった。

