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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第1章 土井社長 ~ 神戸国際投資顧問会社の秘密
西島は大きく息を吐き、土井に頭を下げた。 「恐れ入りました。私も、会社でこそ少しは経験を積んできたと自負しておりましたが、まだまだ身の回りに知らない世界が数多くあると思い知らされました。今後とも、よろしくご指導をお願いします。それにしても、明治の昔からスイスの投資銀行とは驚きました。」
「そうでしょうね。・・・今後のことですが、会社の方も慌ただしいでしょうが、相続関係で急ぎの手続きもあります。お父様は、毎年遺言状を書いて私どもに預けていらっしゃいました。西島さんには相続権のあるお母様と弟妹がお二人いらっしゃいますので、早目に皆さんにお集まりいただき、その場で開封するのがよいでしょう。その時に、資産内容についても詳しく説明させていただきます。」 土井が話を続けた。
「今日のところは簡単に一言で申し上げておきますが、西島家は代々、家と家業を確実に継承していくために、全資産を一子相続する<しきたり>で、その代わり、他の相続権者には、家業の会社の方から、毎年<顧問料>を支払うことでご納得いただいてまして、お父様の遺言もそうなっています。個人資産の大半はスイスの投資銀行で管理運用されていまして、もちろん日本国内の相続税の対象にはなるのですが、様々な手法を組み合わせて、これまでの代替わりの時にも、課税額は極力抑えて来たんです。」