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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2
「おい、李!……コイツを頻繁に来させて俺達全員が公安にでも目付けられたらどうするんだ!」
「え?…って……流川さん?なぜここに…?」
【公安、李、中国が本社…】
沢山のワードが私の頭の中を駆け巡り、まるでパズルのピースの如く一つずつ綺麗に❝北朝鮮❞という枠の中で適材適所に置かれていく。呆然と立ち尽くす私の目には、壁に掛けられてある以前は無かった❝最高指導者❞の写真。
無駄に高級そうなこの絨毯もカーテンも、全部中国らしい嗜みなんかじゃない。これは北朝鮮絡みのスパイ映画によく出てくる彼ら❝北側の人達❞の事務所なんだ、と。
そうハッキリと確信した瞬間、買ったばかりのケーキを地面に落としてまるで全身の力が抜けていくかの様にガクッと膝から崩れ落ちた。
「……流川リサさん」
「リ、さん…。」
「私達の本性を警察にバラしますか?」
「それとも私達の祖国の為に忠誠を誓いますか?」
ソファーに座っていた李さんは、私よりもこの場の状況を掴むのが早かった。さすが、平和ボケしている日本人とは訳が違う。……右足首に隠していたであろう銃を素早く取り出してから安全装置を外し、私へと銃口を向ける。
──スタイルが良いのにピタッとしたスキニータイプのスーツを着こなさいのは、銃の形が浮かび上がるからだろう。スパイさながらだ。
……まあ本当のスパイなんだろうけど。
「おい、李!」
「流川さん。どうなさいますか。」