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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2
「李さんは大学で語学を専攻していたって言ってましたよね…」
外国語が堪能で日本語だけじゃなく、英語も話せると自分で言っていた。きっと彼は北朝鮮内のエリート家庭に生まれ将来的に外交や対外経済を任される事を見越して、沢山の勉強をさせて貰えたのだろう。
「全部、そういう事だったんですね…。」
「流川さんの事を取引するに辺り調べました。四年前に北朝鮮に旅行に来ていますね。中国のシンファン旅行会社を通じて。そこでガイドからの情報によると、交通事故を起こしかけ、誰かの恩威により助けてもらえた──と、そう資料には書いてありました。」
「………。」
「大阪府堺市の堺東高等学校を卒業してから、株式会社スターロードに入社。その間、TOEICを4回受けて4回目で920点を取りましたね。」
「TOEICだけじゃなく……通関士、貿易事務、国際航空貨物取り扱い、日商ビジネス英語検定、など入社から10年の間に沢山の資格を取り、頻繁に泉大津市に住むご両親の元に顔を出しに行ってる。」
「調べようと思えば、簡単に調べられますよ。北朝鮮がなぜ、あんなに小国なのに生き残っていられるか貴方はバカでは無いからお分かりでしょう?」
「核兵器の威力だけではありません。北朝鮮はスパイの能力が非常に高い国として知られています。他国の情報ですら、こうやって安易に調べる事が出来るのです。」
「………。」
「もう一度聞きます、貴方は我々に忠誠を尽くしますか?それとも日本国に…「李、もう良い。」
「テヒョンさん!」