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北の軍服を着た天使
第2章 Episode 2
「そんな中、危険を顧みず、祖国でも無い❝共和国❞という土地で、女の子を助けたのが俺達の目の前で座り込んでいる流川リサだった。朴に拳銃を向けられて、ガイドや運転手までもが恐怖で怯えている中、コイツだけが❝どの国であっても子は宝だ❞と日本語で朴に向って捲し立てたんだ。──相手が日本語を分からないから、っていう魂胆があったとしても、そこら辺の俗に云う❝簡単に手のひらを返す様な売国奴❞だったら、そんなリスキーな事はしないだろう。」
「売国奴のような心を持つ奴なら、女の子を助けもしないし796ナンバーの運転手に文句も言わない。触らぬ神に祟りなし、と言うように…。」
「だから、俺は言ってるんだ。この女は、李が思っているほど❝俺たちに害を与える女❞ではない、と。」
「……。」
あの時の私の言葉が──
目の前で冷静に話すこの男にちゃんと聞こえていて……尚且、彼は意味も分かっていたんだ。と思うと嬉しいやら小っ恥ずかしいやら複雑な気持ちだった。