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夢見る夢子
第7章 少年A
『これがセックスなのかしら…』
一生懸命に亜土夢は腰を振ってくれているけれど
今まで憑依してきた女性達のように
気が狂いそうになるほどの歓喜がやってこない。
おまけにロストバージンの痛みとやらも
股間からは感じることが出来なかった。
女になることを期待して
目を瞑っていた夢子だったが
亜土夢が夢子の体の上で
「あれ…くそっ!ちくしょう…」と
すごく情けなさそうな声がしたので
ちょっとだけ目を開いて亜土夢の表情を盗み見た。
「どうしたの?勃たないの?」
夢子は男にとってその言葉が
禁句だというのに気づけなかった。
夢子の一言が引き金となって
ついに亜土夢は泣き出しはじめた。
「くそっ…せっかくおねえちゃんが
セックスしてもいいと言ってくれてるのに
僕、全然ダメで…」
ポロポロと涙をこぼす亜土夢が
とてつもなく愛しくなって
思わず夢子は亜土夢を強く抱きしめた。
ただでさえ、童貞と処女の最初の営みは
失敗に終わることが大きいと
親友の真紀子から聞いていた。
ただ、真紀子の言う失敗というのは
男が勃起している事が前提で
挿入前に射精するというものだったから
亜土夢のように勃起しないというのは
それ以前の問題だった。