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夢見る夢子
第7章 少年A
意識を取り戻した夢子を
パパもママもすごく喜んでくれた。
すぐさま一般病棟に移され
念のためにあともう一日だけ
経過観察をしましょうと
北見医師は夢子にそう言って
傍らの看護士の彩佳に向かって
「バイタルチェックを怠らないようにね」と告げた
北見医師の指示を受けながら
夢子の担当看護士である彩佳は
とても幸せそうに頷いた。
北見先生が部屋を出ていったのを見届けて
「看護士さんとさっきの先生、仲がいいのね」と
夢子は彩佳に伝えた。
「ええ?どうしてそんな風に思うの?」
「だって、看護士さんを見る先生の目が
とても優しかったんですもの」
「そっか~…内緒にしていてもわかっちゃうのね」
「きっと、看護士さんとさっきの先生は
結婚すると思うなあ~」
「またまたぁ~、
そんなことを言っておだてても何も出ないわよ」
彩佳はそんなことを言いながらも
嬉しそうで
ポケットからキャンデーを取り出して
夢子にくれた。
「糖尿病の患者さんが低血糖になった時のために
いつもキャンデーをポッケに入れてるの
そんなもので良かったら食べてね」
看護士の彩佳はルンルン気分で
ナースステーションへと戻っていった。
『彩佳さん、あなた結婚するわよ
だって、見事に北見先生の赤ちゃんを
お腹に宿したんですもの』
夢子の意識が彩佳から抜け出る瞬間、
あのときに新たな命の息吹を感じた。
中に出した北見先生の精子によって
彩佳の卵子が受精したのを夢子は感じ取っていた。