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自慢の母親
第4章 疑惑
ゆかりは実家に戻ったのだった。

両親にはうつ病に罹って毎日が辛いからと嘘を吐いた。

一人になって色々考えたかった。

戸田や息子の健介から何度も着信やラインが届いていたが、とても出る勇気がなかった。
 
夫には両親と同じく、うつ病に罹って毎日が辛いからしばらく実家に帰りますと置き手紙をしてきた。  

幸い、妊娠はしなかった。
 
あれたけ戸田の濃厚な精液を中に出されながら、妊娠しなかったのは奇跡だった。
 
もしかしたら、もうアラフォーの自分の卵子はさほど元気がなかったのか、あるいは日頃から生理不順だった事が原因なのか・・?

ゆかりが実家に戻ってから一週間後、夫と健介が実家を訪れたのだった。

夫にはうつ病だと話してあるが、健介には事の次第全てを知られている。

2人が迎えに来たと聞いても、ゆかりは部屋に籠もって会おうとはしなかった。

すると、ゆかりの部屋に健介がやって来たのだった。

夫は両親と話をしているらしかった。

「母さん、入っていい?」

部屋の外から健介が話しかけてきた。

「駄目よ・・。あなたに会う資格なんてないもの・・」

ゆかりは涙を拭きながら、拒むのだった。

「母さん、最初は僕もショックだったけど、でもやっぱり母さんがいないと駄目なんだ・・。戸田の奴はぶん殴って来たよ。だからそれですっきりした。もういいんだよ。お願いだから帰って来てよ!」

健介も部屋の前で泣いているようだった。 

ゆかりはゆっくりとドアを開けたのだった。

「母さん・・」   

「健介・・」

2人は抱き合ったのだった。

「ごめんね・・。こんな愚かなお母さんを許して・・」

「うん、うん・・大丈夫だよ。帰って来てくれたら、もう何も言わないよ。だから、お願いだから帰って来て・・」

健介は号泣していた。

「これからは健介のいい母親になるように努力するわ」

ゆかりは健介を抱き締めながら、しきりに詫びるのだった。

「さ、家に帰ろう・・」

ゆかりは健介に手を引かれて部屋から出たのだった。 

「大丈夫か・・?俺も気付いてやれなくて悪かった」
 
殊勝にも夫が謝ってきた。

「ううん、全て私が悪いのよ。心配かけてごめんなさい」

ゆかりは救われた思いだった。

そして、これからはこの素晴らしい家族を第一に考えて幸せな家庭を築いていこうと心に誓うのだった。

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