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ふぞろいのザクロたち
第6章 真佐子の母

「真佐子、夕飯、ここに置いておくわね」

佐智子は夕飯を乗せたトレイを
そっと真佐子の部屋のドアの横に置いた。

ダイニングへ戻ると
「なんだ?
真佐子の奴、まだ部屋から出てこないのか?」
と夫は刺身を咀嚼してビールを喉に流し込んだ。

「いったい、原因は何なんだ?」

夫は佐智子に問い詰める。

そんなもの、わかっていれば苦労はしない。

「だいたい、お前が家に居ながら
何をしているんだ!」

これでは母親失格だなと
夫は不機嫌そうに席を立った。

『私が母親失格なら
あなたは父親失格よね』

佐智子は夫の食べ残しを
忌々しそうにゴミ箱に捨てた。


真佐子の親友でもある恵美里ちゃんが
何度も連絡してくれたそうだが
LINEはずっと未読スルーなのだそうだ。

学校には体調不良と連絡してあるが
そうそういつまでも隠し通せる筈もない。

『どうしたらいいのかしら?…』

佐智子は途方に暮れていた。


お風呂を済ませてベッドに潜り込むと
夫が体をまさぐってきた。

「あなた、ごめんなさい…
今はとてもそういう気分になれないの」

夫と結婚して20年…
今まで夫の要求に拒んだことはないけれど
この夜、佐智子は初めて夫の要求を拒んだ。

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