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第8章 裏取り引き

前日の事だった。

京塚広と恵美里は所轄の警察署を訪ねていた。

応対してくれたのが保安課の篠田刑事だった。

「裏モノ製作の闇グループをつきとめたって？」

篠田刑事は二人の話に興味津々に食いついた。
違法AVに出演させられたという苦情が
すでに何件も持ち上がっていたが
犯人の全貌が掴めずに
警察としても手を焼いていた。

「そうなんです、私の友人が
そういった詐欺に引っかかって
心を痛めているんです」

「明日、彼女が身体を張って
彼らと接触します
そこを取り押さえてほしいんです」

「ご協力、感謝します
では、明日、現場を取り押さえますから
くれぐれも無理はなさらないように」


このようにして広たちは
警察との取り引きを交わしていたのだった。

「お陰さまで闇グループを摘発出来そうです」

全裸の恵美里にバスローブを差し出しながら
篠田刑事は満足そうにそう言った。

「彼らが今まで製作した裏モノ動画の削除も
是非ともお願いしますよ」

精神的に疲弊したのか
広はソファに座り込んで立ち上がれないでいた。

「ええ、そりゃあもう、
そちらも全力で対応します
サイトのほうでも出演しているのが
未成年とわかれば
すぐにでも削除して貰えるでしょう」

では、後ほどあらためて
事情聴取させてもらいますが
その時もご協力をお願いしますよ

そう言って笹岡たちを乗せたパトカーと共に
篠田刑事も警察署に帰っていった。