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ふぞろいのザクロたち
第1章 ミスコン
「ねえ、恵美里…
このコンテストに応募してみない?」
親友の真佐子が一枚の応募用紙を
これ見よがしに恵美里の目の前に差し出した。
目の真ん前に突きつけられたものだから
あまりにも近すぎて
何が書かれているのかさえ読めない。
「ちょっと、あんたさあ、近すぎ!」
何よこれ?と
恵美里は真佐子から応募用紙を奪って
内容を確かめてみた。
『水着コンテスト』
一行目にカラフルな文字で
ド~ンと書かれてある。
その一行目を見ただけで
興味がないとばかりに
「パスよ」と
恵美里は応募用紙を真佐子に突き返した。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ
ちゃんと内容を読んだの?
優勝賞金100万円よ!
おまけに水着女王に選ばれたら
芸能界デビューの道も開けるって夢のような話よ」
「そんなに言うのなら
あんたが応募すればいいじゃん」
「私はダメよ…
ほら、ご覧の通りのペチャパイだしさぁ」
真佐子は自分の胸に手をやって
左右から乳房を寄せてみたが
こんもりとした丘が出来るだけで
同性の恵美里から見ても貧弱で
同情さえしてしまう。
「私さあ、芸能界って世界を見てみたいのよ
私の夢をあんたが叶えるの!
私はジャーマネであんたをサポートしながら
芸能界の裏を生きていくわ」
まるでひとつの映画が出来そうなほど
真佐子は夢物語を延々と語った。