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ふぞろいのザクロたち
第2章 スカウト
ドアの外には見知らぬ男が立っていた。
今風のファッションに身を包んだ
イケイケのチャラい男だった。
「あの…どちら様?」
身なりからして
コンクールのスタッフではないと一目瞭然だ。
「あっ…失礼…
俺はこういう者です」
チャラい男は、
これまたチャラい名刺入れを取り出すと
サッと一枚引き抜いて真佐子に渡した。
『芸能プロ ビッグ
スカウト 関川 賢』
相手の身なりから信用できないはずなのに
真佐子は飛び上がらんばかりに喜んだ。
「やったわ!恵美里!!
芸能プロのスカウトさんの目にとまったのよ!」
真佐子は飛び上がらんばかりに喜んだ。
「すいません、私、芸能界には
これっぽっちも興味がないんです」
そのように恵美里は
丁寧に断りを入れた。
「バカね!こんなチャンス、滅多にないのよ!」
血相を変えて真佐子は恵美里を叱り
スカウトの関川にむかって
「すいません、今すぐ前言を撤回させますから」と
ペコリと頭を下げた。
「別にそちらの彼女が
芸能界に興味がなくてもかまいませんよ
だって、俺はあんたをスカウトに来たんだから」
そう言ってドキュメンタリーでも録るのだろうか
スカウトの関川の背後から
ビデオカメラを手にした男が真佐子を撮していた。