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ふぞろいのザクロたち
第2章 スカウト
「えっ?私?」
まさか見た目もプロポーションも人並みの自分が
芸能プロにスカウトされるとは
思ってもみなかったので
真佐子は目を白黒せた。
「良かったじゃない!
これで真佐子も憧れの芸能人よ」
真佐子の呪縛から解き放たれると
恵美里は喜んで真佐子の背を押した。
「ホントの本当に…私?…」
「ええ、先ほどからそう言ってますけど」
信じてくださいよと
スカウトと称するチャラい関川は
真佐子に向かって深々と頭を下げた。
「どうしよう…
恵美里、私、心の準備が…」
恵美里を芸能界に放り込んで
自分はマネージャーとして
芸能界を見聞きしたかっただけなので
いざ自分がスカウトされるとは思ってもみなかった
「ここでは何ですし、
良ければ事務所に来て
お話を聞いていただけますか?」
「どうしよう…行っちゃおうかな…」
戸惑いながらも
真佐子の心は早くも芸能界入りを決めている。
「心配なら私が付いていってあげるわ」
恵美里がそのように申し出ると
「すいません、車の中は機材だらけで
彼女一人しか乗れないんですよ」
一歩前に歩み出ようとする恵美里を
関川はストップというように手を開いて
恵美里を制した。