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ふぞろいのザクロたち
第2章 スカウト
その頃、真佐子を乗せたワンボックスカーは
街を離れて田園地帯を走っていた。
「事務所って…
こんなに辺鄙な場所にあるんですか?」
車を運転しているスキンヘッドの男はもとより
スカウトだと自称した関川までも
真佐子と隣り合わせに座った後部座席で
寡黙を貫いた。
何だか様子がおかしい…
車には機材だらけで
恵美里を乗せることは出来ないと
関川はそう言っていたのに
ワンボックスカーの車内は整理整頓されていて
あと二三人は乗れそうだった。
やがてワンボックスカーは
人がいない寂れた公園の駐車場で停車した。
「この辺でいいかな…」
真佐子の隣に座っている関川は
ボソッとそう言った。
待ってましたとばかりに
助手席に座っていた男がビデオカメラを手に
後部座席に身を乗り出してきた。
「真佐子さんさあ~、ちょっと事務所に行く前に
この車の中でカメラテストしたいんだよね」
真佐子に向かってそう言って、
今度はカメラマンの男に
「上手く写ってるかい?」と念を押した。
「ええ、もうバッチリですよ
さすが4Kカメラは画像がいいですね」
美人に撮ってやれよと関川は言ったが
カメラのアングルは
どう考えても真佐子の太ももを撮影していた。