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ふぞろいのザクロたち
第2章 スカウト
「いいわ!話を聞くだけだし
私一人で行ってくる」
真佐子がそう告げると
気が変わらないうちにとでも思ったのか
関川は真佐子の腰に手を回して
「さあさ、急ぎましょう」と
逃げるように連れ出してしまった。
ビデオを撮影している男と
関川が真佐子を連れ出すのと入れ換わりに
京塚母子が控え室を訪ねてきた。
「恵美里~…残念だったわね」
そう言ってマダムは慰めてくれたものの
その口調は「まあ、当然よね」という意味合いが
感じ取れた。
「いいじゃないか
あんたがその気なら僕がいっぱい撮影して
自費出版で写真集を出してやるさ」
京塚浩はそう言って胸を張ったが
「自費出版するほどの蓄えもないくせに」と
マダムに叱られてるとシュンとなった。
「それにしても…
恵美里の友人を連れていった男…
どこかで会った気がするんだよね」
浩はそう言って首をひねった。
「浩さんはカメラマンですもの
どこかで芸能界関係の方と
会うこともあったんじゃない?」
芸能プロのスカウトの方よと
恵美里は注釈を加えた。
「いや…そんな華やか場所で
会った記憶はないんだけど」
どこで会ったんだろう…と
浩は記憶を手繰り寄せたが
挨拶を交わした程度なんだろうと
それ以上、思い出すのをやめた。