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ふぞろいのザクロたち
第1章 ミスコン
走って逃げようと思えば
いくらでも逃げれたのに
なぜか恵美里は彼に導かれるまま
彼と一緒に
馴染みだというエステ店に足を踏み入れた。
「まあ!お久しぶりじゃないの」
小さなお店だった。
エステティシャンを雇っているわけではなく
二人を出迎えたマダムが一人で
お店を切り盛りしているようだ。
「お客さん、連れてきてやったぞ」
京塚がそう言うと
マダムは喜びを体全体で表して
「ありがとう~」と京塚に抱きついた。
年の頃は40代だろうか
熟女と言ってもいい年齢なのに
京塚に抱きつく姿はとても色気があった。
京塚も「よせよ」とも言わないで
そのままチークダンスでも踊りかねない様子だ。
そして京塚の背後で挨拶をすべきかどうか
迷っている恵美里に気づくと
「あなたがお客さまね
今日はどんなコースがいいのかしら?」と
メニュー表を見せながら恵美里に尋ねた。
『うわっ!高っ!!』
書かれているメニューは
どれもこれも高額だった。
「高額だろ?
まったく、このおばさんったら
ぼったくりなんだから」
「あら、言ってくれるじゃない
でも、金額に見合ったサービスはするわよ」
まあ、確かに腕はいいけどな
君がモデルになってくれるのなら
ここは僕が奢らせてもらうよ
京塚の言葉を受けて
「遠慮しないで甘えちゃいなさい」
そう言ってマダムはフルコースねと
準備に取りかかった。