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第1章 ミスコン

「あはは…フラれちゃいましたね」

恵美里は思わず笑い声の主に向かって
キッと睨み付けた。

「ああ、ごめん、ごめん
笑うつもりはなかったんだけど
二人のやり取りが、まるでコントだったもので…」

破顔の笑い顔をスッとすまして
失礼しました、僕はこういう者ですと
笑い声の主はサッと名刺を一枚、
恵美里に差し出した。

『カメラマン　京塚 浩』

名刺の肩書きを見て「カメラマン？」と
恵美里は如何わしそうな男に軽蔑の眼差しを向けた

「本当にカメラマン？って顔してるね
首からカメラをぶら下げてないしね
でも、街の中でスナップを撮るには
コイツがあるしね」

京塚はポケットからコンパクトデジカメを
取り出した。

「おもちゃみたいだろ？
でも、これでも一応ミラーレスなんだぜ」

そう言うと、
さりげなく恵美里をパシャと一枚撮影した。

「ちょっと！勝手に撮らないでよ！」

「君、可愛いよねえ
どうだい？モデルになってみないか？」

まあ！新手のナンパかしら？

「おあいにくさま、
私、これからエステに行かなきゃ」

「へえ～、エステねえ…
どうだい？いい店を紹介してやろうか？」

カメラマンだから、
そういう店にも顔が利くんだぜと
無理やり恵美里を連れ出した。