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恍惚の日々
第2章 正体
「あ…あの…わ、訳が解らないんですけど…」
「そうか、解らないか。まあいいだろう。そのうち解る時が来る。」
「あの…で…どこへ…」
横顔も涼しげな目元や、すっと通った鼻、厚くなく薄くなく、口角の締まった感じ、どれを取ってもダンディだ。
間違いなく、かなえが蕩ける大人の男性だった。
「ゴールデンウイークの初日、駅南口、8時。三泊四日。じゃ。」
囁かれた言葉。
帰省するのを楽しみにしていた母に断りを入れてまで、総支社長の言葉に操られ、駅に立った。
何か、見えない何かに引き寄せられているようだと、頭のどこかで考えるかなえがいた。
「今日はほとんどが車中だから、まあ、景色でも眺めてのんびりするといい。」
結局、行き先は教えるつもりはないのだろう。
少しずつ、落ち着きを取り戻してきた頃、桐谷が話し始めた。
「海と山、都会、どれが一番落ち着く?」
「都会…かな…」
「都会ね?」
「知らないんです。生まれて育った東京以外…」
「そうか。これから、かなえにとって一番居心地のいい所を探さなきゃな。」
車は海岸沿いに走り、やがて、緑豊かな山へと向かった。
「お腹が空いたね。お昼にしよう。」
「はい。」
小さな蕎麦屋さんに入った。
「そうか、解らないか。まあいいだろう。そのうち解る時が来る。」
「あの…で…どこへ…」
横顔も涼しげな目元や、すっと通った鼻、厚くなく薄くなく、口角の締まった感じ、どれを取ってもダンディだ。
間違いなく、かなえが蕩ける大人の男性だった。
「ゴールデンウイークの初日、駅南口、8時。三泊四日。じゃ。」
囁かれた言葉。
帰省するのを楽しみにしていた母に断りを入れてまで、総支社長の言葉に操られ、駅に立った。
何か、見えない何かに引き寄せられているようだと、頭のどこかで考えるかなえがいた。
「今日はほとんどが車中だから、まあ、景色でも眺めてのんびりするといい。」
結局、行き先は教えるつもりはないのだろう。
少しずつ、落ち着きを取り戻してきた頃、桐谷が話し始めた。
「海と山、都会、どれが一番落ち着く?」
「都会…かな…」
「都会ね?」
「知らないんです。生まれて育った東京以外…」
「そうか。これから、かなえにとって一番居心地のいい所を探さなきゃな。」
車は海岸沿いに走り、やがて、緑豊かな山へと向かった。
「お腹が空いたね。お昼にしよう。」
「はい。」
小さな蕎麦屋さんに入った。