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恍惚の日々
第2章 正体

「私は蕎麦が好きでね。かなえは嫌いか?」
「いえ、好きですが、どちらかと言えばうどんです。」
「うどんが好きか。」
「はい。特に、母の作る鍋焼きうどんお餅入りが。」
「今はもう鍋焼きうどんはさすがに無いだろう。」
「海老天うどんにします。」
桐谷は大ざる、かなえは海老天うどんを注文した。
「ははん。その海老、衣がとろとろに溶け出して、まるで裸のかなえだな(笑)」
嘘でしょ?
かなえの箸の手が、固まったように止まった。
嘘でしょ!総支社長がなんて厭らしいことを言うの?
かなえの中で、スマートで洗練された桐谷のイメージが一変した。
「かなえ?」
「かなえが私に憧れていることは良く良く判っていたよ?今、憧れが崩れ落ちていくのを感じているのもね(笑)しかし、かなえはまた私に憧れを持つようになるさ。そして、その先は崇拝するようになるだろう。」
「意味が…」
「そのうち、その身を以って解る。焦ることはない。さあ、食べよう(笑)」
どこにそのうどんが入ったのか、とにかく食事は終わった。
「落ち着いた?見て御覧、いい景色だろう?」
「わあ!ほんと!緑の中の空気が美味しいって感じるわ!」
「そう。綺麗なものを綺麗と愛(め)で、嬉しければ嬉しいと心から思い、表現する。大事なことだ、よく覚えておきなさい。」
桐谷はかなえの腰に手を回した。
ゾクゾクッ!
カァーッ!
ジュン…ジュル、ツー……
かなえの鼓動が早鐘を打った。
膝が震えた。
喉が異常に渇き、見開いた目が焦点を失った。
「いえ、好きですが、どちらかと言えばうどんです。」
「うどんが好きか。」
「はい。特に、母の作る鍋焼きうどんお餅入りが。」
「今はもう鍋焼きうどんはさすがに無いだろう。」
「海老天うどんにします。」
桐谷は大ざる、かなえは海老天うどんを注文した。
「ははん。その海老、衣がとろとろに溶け出して、まるで裸のかなえだな(笑)」
嘘でしょ?
かなえの箸の手が、固まったように止まった。
嘘でしょ!総支社長がなんて厭らしいことを言うの?
かなえの中で、スマートで洗練された桐谷のイメージが一変した。
「かなえ?」
「かなえが私に憧れていることは良く良く判っていたよ?今、憧れが崩れ落ちていくのを感じているのもね(笑)しかし、かなえはまた私に憧れを持つようになるさ。そして、その先は崇拝するようになるだろう。」
「意味が…」
「そのうち、その身を以って解る。焦ることはない。さあ、食べよう(笑)」
どこにそのうどんが入ったのか、とにかく食事は終わった。
「落ち着いた?見て御覧、いい景色だろう?」
「わあ!ほんと!緑の中の空気が美味しいって感じるわ!」
「そう。綺麗なものを綺麗と愛(め)で、嬉しければ嬉しいと心から思い、表現する。大事なことだ、よく覚えておきなさい。」
桐谷はかなえの腰に手を回した。
ゾクゾクッ!
カァーッ!
ジュン…ジュル、ツー……
かなえの鼓動が早鐘を打った。
膝が震えた。
喉が異常に渇き、見開いた目が焦点を失った。

