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恍惚の日々
第2章 正体
桐谷は、かなえが表面上でどんなに淫らな自分を隠そうとしても、隠しきれない秘めたるエロスの憧れを持ち合わせていることをしっかりと確信した。

長い間、かなえ、お前を待ったんだよ。今度はお前が私を待つ番だ。胸が切り刻まれそうなくらい、苦しく切なく喘ぎ悶え待つ。

あー、何と言う悦びなんだ。

先は長い。かなえ、歯車は本当にゆっくりと、しかし、確実に回りだしたのだよ。


かなえの腰にまわした手に、ほんの少し力が入った。


「あの…き、桐谷さ…ん……」

「んー、淳之介さんがいい。」

「はなして下さい、じゅ、ん、のすけ…さん。」

「嫌だ(笑)かなえ、肩の力を抜きなさい。もう、フランクになってもいいだろう?それとも、私が嫌いだけど、仕事に支障をきたすから断れずに来たのかい?」

「違います!絶対違います!好き過ぎて、理解出来ないんです、この現実が!あっ……」

「本音、出たね?嬉しいよ、かなえ。」

ギューッと掴まれ引き寄せられたかなえの躯。

それだけ?

それだけ。

かなえの瞬間の欲望、キスはおあずけ。


引き寄せられた先にあった、桐谷の厚い胸の心臓のゆっくりとした鼓動をかなえは聴いていた。


落ち着くところは、ここ?
かすかにそんな思いが脳裏をかすめた………




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