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恍惚の日々
第3章 裏腹
不安を拭い去るように、シャワーを強くした。シャワーがかなえの躯を叩く。

大丈夫、殺されるわけじゃない。とにかく三日間、おとなしく言うことを聞いていればいい。
長い人生のたった三日よ。大丈夫、大丈夫…

濡れた髪をひとつに束ね、アップにして留める。

ブラジャーやパンティーを身に付けず纏うバスローブは、思いのほか気持ち良かった。

しかし、この格好で桐谷の前に行くことは、この上なく恥ずかしい。
なかなか扉を開けることが出来ずにいた。


ガチャ。

うそーっ!

「私もシャワーを浴びるから、かなえは好きなものを飲んでいなさい。」

シャ−ッ……

何事も無かったようにシャワーを浴びる桐谷。
確かに何も無かったけど…

かなえの躯に興味はないのだろうか…
所有物って、したいときにする、ってことじゃないの?
セックス相手じゃなくて、もしかして、秘書的存在?


きっと、そうなんだ。だから、洗練された女性にするために、こんな豪華な部屋や服を用意したのね!
それなら、喜んで所有物になるわ!


自分勝手な思い込みでしか無かった。それでも、そう思い込んだかなえは、最高のセクレタリーになろうと気構えた。


「何を飲んでいる?」

「赤ワインです、淳之介さま。」




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