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恍惚の日々
第3章 裏腹
「明日、私の貸し別荘に行こう。いいところだよ、かなえ。」

東京より北に位置するそこは、今、最高に新緑が素晴らしく、季節的にも快適な陽気だと桐谷は言った。


これが、普通に旅行を楽しむ恋人同士なら、確かに最高のシチュエーションなのだろう。
しかし
桐谷とかなえの関係は、どこに位置している関係なのか…


ホテルでは、桐谷とかなえは別々のベッドで眠った。

かなえはまだ24歳。二人っきりの旅行なら、手も繋ぎたいし、肩も寄せ合いたいお年頃だ。
それが、手を繋ぐこともなければ笑い合うこともない。じゃれ合うこともなければベッドも別々。

桐谷はいったいどうしたいのか?考えあぐねた。

数年に渡るストーカー行為といい、見下す言動といい、ルックスやスタイルがいい以外、女性蔑視の最低な奴でしかない。

なのに、何か見えない鎖に繋がれて身動きが取れないかなえだった。



夜中に、ふと、目がさめた。
桐谷はスヤスヤと眠っている。

かなえは、我が身の違和感で目覚めたのだった。


性欲。


強い性欲というより、焦れったいような性欲。不完全で中途半端な、何かやり残して気持ち悪い感じの欲…

全裸で寝ることを強いられ、かなえは素肌に布団が掛かっていることもあり、持て余した性欲を埋めようと、乳房に触れた。

寒くもないのに、そう、欲に駆られた乳房の先は、ツンと存在を主張していた。


「ん、あぁっ…」

先を指で転がすと、思わず声が洩れた。
躯の中の性欲が一瞬にして目覚め、中心から「ぴゅっ!」とほとばしる。

躯は火が点いたように熱くなった。




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