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恍惚の日々
第3章 裏腹
「どうか……」

「ふっ…まあいい。そのうち言われなくても、懇願するようになるだろう(笑)」

「そんなこと…」

「シャワーを浴びてきなさい。出掛けるよ。」

「はい。」


この三日が終わったら、はっきりお断りして、元の生活に戻ろう。あと二日、明後日の晩には家に帰れる。
もう少しの我慢よ、かなえ。

自分に言い聞かせていた。






綺麗な輝きを乱反射させた沼は、観光客のまばらな、穴場というに相応しい所。

その沼の程近くに貸し別荘群があった。

群の一番外れに桐谷が借りた別荘がある。裏手は森林になっていて、マイナスイオンをいっぱい放っているようで、身も心も洗われる、そんな所。


ログハウス風のその家は、天井が高く、ほとんど仕切りのない間取りで、開放感があった。

「ここでは、これからの話をしよう。実体験も含めて。」

「はい…」

「まずはランチだな。冷凍庫にパスタがあるから、かなえ、用意をしなさい。」

「はい。」

「はい、淳之介さまだ。」

「はい、淳之介さま。」


広いリビングに大きなテーブル。
桐谷がワインを用意した。
グラスとフォークがセットされ、あとは、電子レンジが出来上がりを知らせるのを待つばかり。

何気なく振り向くと、桐谷は布製の大きなかばんをテーブルの脇に転がして来た。


電子レンジが出来上がりを知らせる。かなえは皿に盛りつけると、テーブルにセットした。

「用意が出来ました。」




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