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恍惚の日々
第3章 裏腹
「偉いよ!凄い!よくできた、かなえ。」

背中をさすり、頭を撫で、満面の笑みでかなえを褒めた。
かなえは、泣いていた。ぽろぽろ ぽろぽろ。

「恥ずかしくて仕方なかったよね?悔しかった?私を憎んだ?」

「ううん、憎んでなんかいない…わからないの…ショックなことばかりで…」

「んっ…」

桐谷は、かなえを抱きしめたまま、頭(こうべ)を垂れたかなえの顎を人差し指と中指で掬い上げ、唇を奪った。

成熟した大人の、激しくも優しいキス。
左手で頭を抱くように支え、顎に添えた指もそのまま、深く熱いキス。

かなえの唇を捉らえ、舌を優しく潜らせる。
自然と唇がひらいたかのような錯覚を覚えさせる、優しい舌。

かなえの舌と絡ませ、離し、口中の粘膜をなぞる舌先。
また絡ませては吸い付き、離しては歯肉をなぞる。

かなえの心情は穏やかではない。蕩けそうなキスに、躯中がうごめいて、熱く、中心は蜜を溢れさせ、逝ってしまいそうなのだ。


顎に添えた指は、かなえの髪を撫でる。

「これで、許してはくれないか?可愛いかなえ?」


何度も何度も頷くかなえは、いつしか桐谷の虜になっていた。


夕暮れが近づき、桐谷は次の段階へと進めた。


「ペットの仔犬と、森を散歩したいな。」




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