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恍惚の日々
第3章 裏腹
「散歩?」

「そう、散歩。誰も居ない。かなえと私だけだ。嫌かい?」

「着ぐるみ、汚れちゃう…」

「大丈夫、かなえごと洗えばいいさ。」

「はい…」

「決まり!じゃあ、行こう!」



まさか、四つ足で歩くなど思っていなかった。
まさか、鎖で引かれるなど考えていなかった。


四つ足で歩けと桐谷が言う。
少し強い口調で。
でも、穏やかな瞳で笑いかけられ、かなえは魔法にかかった。


にこやかな桐谷に安堵し、外の緑に囲まれ、かなえは次第に楽しくさえ思うようになっていた。


「あん!あんっ!」

「どうした?」

緑の中で腹を見せた仔犬のかなえ。

「ははあーん、甘えたいんだね?」

「クィーン、クィーン」

腹を撫でてやる。
さりげなく、かなえの乳房付近をさすり、微かに先端に触れる。

もちろん、かなえは躯中が熱くなり、ビクビクッと躍る。

知らんぷり。

桐谷は、さりげなく意地悪をしてかなえを惑わし、追い詰める。

「かなえ?マーキングはいいの?」

ぶんぶんと頭を振って、NOの意志表示。

「ふーん、つまんないなあ…」

チラリとかなえを見るが、またしても、ぶんぶん。

「まっ、いいか。ここは貸し別荘だもんな(笑)」

うんうん!かなえが頭を縦に振った。



なんだか、本当に可愛いな。
妖艶な女にするのは、まだ先でもいいのかな……

桐谷の中に初めて迷いが起きた。




「かなえ、存分に遊べ(笑)帰ったら洗ってやるからな(笑)」

屈託無く、桐谷も笑っていた。




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