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恍惚の日々
第4章 誓約書
マンションの最上階。

桐谷の部屋の前に立っていた。

「本当に私が知りたい?」

「はい。」

「そう(笑)」
「じゃ、開けるよ?」


かなえの鼓動が高鳴っている。



重厚な音がして扉が開いた。

広い玄関ホール。
美しく、妖艶な裸婦の絵が飾ってあった。

「さあ、入りなさい。」

「はい。」

広いホールの先に、リビング、アイランドキッチン。
4LDKの間取りだと桐谷が言った。


しかし……


足がすくんで動けない!


「どうしたのかな?(笑)」

「………」

広いリビングに大きな檻。
装飾品のように壁にかけられたSMグッズ。
天井から下がる鎖、滑車の数々。
リビングの隣の部屋には、意味不明な置物?椅子?テーブル?
壁には緊縛された女性や犯され泣いている女性、男性自身にむしゃぶりつく女性などのモノクロ写真が、額に入って飾られている。


「私に棄てられた、浅はかな女達だよ。かなえ、お前はこんな額の中に入ってはいけない。」

「………」



SM……

かなえは、桐谷のM女として飼われるのだと確信した。

足が震え出した。

躯が震え出した。

大きな涙がポロポロと零れ落ちた。




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