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恍惚の日々
第1章 誰?
「おはよう。」

「おはよう、ちな。」

「今日も寒いねえ。外と中の温度差に鼻がぐずるよぉ…」

「それ、風邪のひきはじめじゃない?ちなは学生時代も必ず季節変わりの温度変化に負けつづけてたじゃん。」

「うぅ…かもしれん…」

ちなとは、小暮千夏(こぐれちなつ)という、短大で知り合い、以来一番仲良しの女友達だ。

あっけらかんとした、さっぱり系の性格が、妙に気に入り、私から『友達になって。』などと、小学生のようなアプローチをしたのがきっかけである。


「今日、さぼっちゃおっかなあ…朝礼、今日すっごいめんどくさい日じゃん。」

「まあ、確かに。営業員さん達の追い込みで、また支社や支部から無理難題来るってのも…ねえ…毎月のことだけどね。で、本気で帰るの?」

「まさかあ!愚痴だよ、愚ー痴。」


毎日こんな調子で一日が始まる。
締切日にはてんやわんやだけど、比較的、残業もなく、営業員さん達から見たらお気楽に見えるのかも知れない。

そんなお気楽な稼業じゃないことは百も承知なんだけどね。


バタバタと昼食を摂ったと思ったら、あっという間に終業時間。

そう。ほんとにお気楽稼業ではないのだ。


「疲れたよぉ。かなえぇ、飲みに行こ。」

「しょうがないなあ。いいよ、明日は休みだし。」

「はい。決まりっ!」




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