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恍惚の日々
第5章 脱皮
同じ趣向の人に見られる方が、気は楽かもしれない。

そういう人がそういう女を見るのは、至極自然な流れ。
しかし、
ノーマルで、そういった趣向を持ち合わせない人となると、話は別だ。

予測がつかない。
罵声を浴びるかもしれない。
蔑(さげす)まれるかもしれない。

きっと、顔から火が出るほど恥ずかしく、屈辱的で、惨めだろう。


それに耐えることが、自分にできるとは到底思えない。


ジタバタしている自分が居た。
目を充血させ、何とか桐谷に思いを伝えたいかなえだった。

一段と大きく叫んだ。
「あーっ!あーっ!!あーっ!!!」


脳が酸欠を起こしそうだった。



檻に入ってきた桐谷が、手足の拘束を解いた。

「終わりだよ、かなえ。」

えっ?どういうこと?

ギャグを外されても、口がきけないかなえ。


「かなえが、本気で抵抗するところが見たかったのさ。今のレベルがどれくらいかを見極めるためにな。」

「………」

「真似事だと言っただろ?」




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