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恍惚の日々
第5章 脱皮
そっとベッドにおろす。
かなえは横たえたまま、桐谷を見つめ、桐谷もかなえを見つめながらネクタイを外す。
ワイシャツのボタンを外し、逞しい上半身が現れた。

かなえは思わず息をのんだ。
40代も半ばという身体には見えなかった。

ずっとスーツ姿かバスローブだった。
かなえがよがり狂っている時もスーツだった。
自分は丸裸で、見下されているような屈辱感が倍増し、最初はこの上なく恥辱、屈辱に心が泣いた。
しかし、その情景はかなえにとって見事なまでにスパイスとなって淫らにさせた。

桐谷が黒のボクサーパンツ姿になる。
男性のシンボルが盛り上がり、得体の知れない大きさを連想させる。
表情は、この三日間には見なかった、包容力を感じさせる穏やかさ。
いつしかかなえは、うっとりと桐谷を見つめていた。


「特別な日だからね、特別にノーマルで逝かせてあげる。迷ったけどね、かなえにとって今日がノーマル卒業式だからね。」

半分聞こえて半分聞こえないかなえ。それほど今の桐谷にうっとりしていた。

かなえに被さるようにベッドに横になった桐谷が囁いた。

「卒業式を始めよう、可愛いよ、かなえ。」


耳元で囁いた声と吹きかける息に、かなえの躯がビクビクッと震えた………




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