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恍惚の日々
第5章 脱皮
前髪を掻き分け、おでこにキスを落とす。

フワッと甘酸っぱい痺れが訪れ、かなえの躯がフワフワしている。

懐かしい、初恋のファーストキス…
あの時の、緊張しつつもフワッとした感覚が甦る。
キスの後、顔を見ることすら恥ずかしく、下を向いていた。
恥じらいの中に、次の進展を期待したあの頃…

今、そんな気持ち再び……


「お嬢さん、キスは初めてですか?」
かなえの恥じらいを感じた桐谷が、そんな言葉をかけて微笑んでいる。

「さあ、目を閉じて。」
処女の子に触れるように、やんわりとかなえの頬に触れる。


何?

ドキドキがうるさい!


バクバク バクバク
バクバク バクバク


躯の中で凪いでいた気持ちにさざ波がたつ

だんだん

だんだん

白波が押し寄せる


初めてじゃないのに

キスだって上手にできるのに


何もできない……

鼓動の高鳴りが苦しい……



バクバク バクバク…
バクバク バクバク…



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