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恍惚の日々
第1章 誰?
店を出てみれば…雨だ…
タクシー乗り場は長蛇の列。
ひと駅だけだけど、電車に乗ることにした。
あたし達は、乗り換えが便利な駅の周辺でふたり女子会をすることが多い。
このお気に入りの居酒屋もそこにある。
あたしはここからひと駅だけ乗り、あとは徒歩15分。雨や終電間近になる時はタクシーを使っていた。
改札を出て、いつものポーズの携帯を取り出した。いつもならポーズだけど、『話し相手になるから電話しなさい』の約束通り母に電話した。
「あら?今夜は遅くなるんじゃなかったの?」
「ちなが彼に呼び出されて散会になったの。ごめんね、忙しかった?」
「ぜーんぜん。おしるこ、食べる?」
「うん。食べる!」
「じゃあ、一緒に食べようね。」
ポーズではなく、本当に聞こえてくる話はやはり楽しいし、家路が近く感じる。
「ねぇ、お母さん、さっきからまた…」
「靴の人?」
「うん…」
「お母さんもお姉ちゃんの方に向かうね。いつもと違うことが起きそうなら、とにかく走りなさい。」
「うん、わかった。」
母の方が走ってるのは、受話器から漏れる息遣いで分かった。
きっと母の方があたしより狼狽していた。
タクシー乗り場は長蛇の列。
ひと駅だけだけど、電車に乗ることにした。
あたし達は、乗り換えが便利な駅の周辺でふたり女子会をすることが多い。
このお気に入りの居酒屋もそこにある。
あたしはここからひと駅だけ乗り、あとは徒歩15分。雨や終電間近になる時はタクシーを使っていた。
改札を出て、いつものポーズの携帯を取り出した。いつもならポーズだけど、『話し相手になるから電話しなさい』の約束通り母に電話した。
「あら?今夜は遅くなるんじゃなかったの?」
「ちなが彼に呼び出されて散会になったの。ごめんね、忙しかった?」
「ぜーんぜん。おしるこ、食べる?」
「うん。食べる!」
「じゃあ、一緒に食べようね。」
ポーズではなく、本当に聞こえてくる話はやはり楽しいし、家路が近く感じる。
「ねぇ、お母さん、さっきからまた…」
「靴の人?」
「うん…」
「お母さんもお姉ちゃんの方に向かうね。いつもと違うことが起きそうなら、とにかく走りなさい。」
「うん、わかった。」
母の方が走ってるのは、受話器から漏れる息遣いで分かった。
きっと母の方があたしより狼狽していた。