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第8章 代償

要を見上げながらうんと頷く逢里は、これでここから出ていかなくても済むと思ったのだ。


要を傷つけた母親の代わりに、償おうと…これ以上、要を1人で苦しめないように。
子供ながらも、母性本能なのか『守りたい』気持ちが大きかったのだ。


幼さゆえに、確かめる術も持たず、言葉も足りずにすれ違う2人だった。


「じゃ、これからは美沙さんや淳子さんと口を聞くな。」


要はそう言って部屋から出て行った。


要が明奈と一緒にいられないのは間違いなく2人の存在が関わっているし、要から母親を奪っているのには代わりがない。自分だけが母親と仲良くなんて、都合が良すぎる事なんだと思い、1人になった部屋で俯いた。