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砂漠の月、星の姫~road to East~
第2章 第二夜【国境の月~road to east~】
タリムは溜め息をついた。彼女はここから先、一体何があるのかを知らない。ただ幼い時から、国の最果てには小さな泉があり、その更に向こうは東、つまり姫たちの国の民が信ずる太陽の神がいるのだと信じて育ってきた。
タリムは俯いた。蒼い水は風に揺らぐこともなく、漣(さざなみ)一つ立てることなく、鏡のように凪いでいる。砂漠の夜は寒く、タリムも男も毛皮の上着を羽織って燃えさかるたき火の傍にいても、なお砂漠の夜の寒さが身に滲みた。
タリムは俯いた。蒼い水は風に揺らぐこともなく、漣(さざなみ)一つ立てることなく、鏡のように凪いでいる。砂漠の夜は寒く、タリムも男も毛皮の上着を羽織って燃えさかるたき火の傍にいても、なお砂漠の夜の寒さが身に滲みた。