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初恋の相手は人類最強の兵士長でした
第2章 ―惑い―
「…ったく、調子狂う……」

タンタンっと軽快な足跡が聞こえ、階段を昇ってきたエレンが正面から現れた。
リヴァイの姿が見えた途端、嬉しそうな顔をして小走りに駆け寄ってきた。

―こういう時は飼い犬みたいなんだよな…


「リヴァイ兵長、ハンジさんが午後の事で探してましたよ」
「そうか、あいつはどこに?」
「もう表に居ると思います」
「他のやつらは?」
「エルドさんとグンタさんはハンジさんと一緒で、
ペトラさんとオルオさんは昼食の準備中です」
「そうか」

そっけなく、つかつかとその場を通り過ぎようとするリヴァイの腕を、
とっさにエレンは掴んだ。

「何だ…?」
「兵長、俺今日あなたを抱きます」
「サカってんじゃねーよ……」
「好きだからです」

揺るが無い瞳で真っ直ぐに見つめると、
そのまま引き寄せ、強引にリヴァイを抱きしめた。

「場所を選べ。人に見られる」
「嫌なら振りほどいて下さい…」
「チッ…クソガキが……」

より一層エレンの腕に力が篭る。
それでもリヴァイに振りほどけない訳ではない。
なのになすがままにされていた。
エレンの柔らかな髪と滑らかな頬が触れる……


―翻弄されている…か―
あながち否定出来ないかもしれない。
煮えきらない心境のままエレンの体温を感じていた。

暫く時間が流れたかと思うと、
少し遠くからガチャリとドアの開く音がした。
長い廊下の奥、先ほどリヴァイが出てきたエルヴィンの部屋だ。
とっさにエレンはリヴァイから離れると、慌てて敬礼をした。
こっちに歩み寄ってくるとエルヴィンは何も見てないかのように声をかけた。

「…おや、エレン」
「おはようございます、エルヴィン団長」
「せっかくこちらへ来たのに、今朝はゆっくりさせてもらってすまないね。
午後の実験は時間があれば立ち会うよ」
「はいっ、よろしくお願いします」
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