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初恋の相手は人類最強の兵士長でした
第2章 ―惑い―
深々とお辞儀をして恐る恐る顔を上げると、
くすくすと笑っているエルヴィンがいた。
キョトンとして首をかしげているエレンに、エルヴィンはそっと耳打ちをした。
途端、エレンの顔がカーっと真っ赤になった。

「二人共、また午後に」

エルヴィンはそう言い残すと、スタスタと長い廊下を歩いて行った。


「おいエレン、俺は自室に寄ってから行く。お前は先に行ってろ」

そう声をかけてリヴァイが振り返ると、頭を抱えてエレンがうずくまっていた。
えっ?うそだろ…などブツブツとなにやら呟いている。

「何だ、どうした?」
「へ…兵長の相手って、エルヴィン団長……」

エルヴィンが去り際に耳打ちしたのはリヴァイも気が付いていた。
…嫌な予感しかしない……

「あいつに何を言われたんだ」
「薔薇……首筋―紅い薔薇って…」

腕組みをしてエレンを見下ろしながら、
やれやれといった表情でリヴァイは口を開いた。

「…まぁそういう事になる。そもそも、あんな派手に残す奴があるか…」

暫しの沈黙の後、勢い良くエレンは立ち上がると、
リヴァイの腕を掴んで廊下を少し逆戻りし始めた。
エレンの予想外の行動に一瞬戸惑う。

「おい、エレン」

引っ張られるがままにリヴァイの自室までたどり着くと、
エレンはドアを開け中に入った。

「時間…少しならありますよね……」

そう呟くと、強引に引っ張って来たリヴァイを少し乱暴にベッドに押し倒した。
この状況でも相変わらずのしかめっ面でエレンをじっと見る。
そんな表情もお構いなしにエレンは、
ギュウと強くリヴァイを抱きしめて首筋に顔を埋める。

「石鹸の香りがする…今朝も抱かれていたんですか…」
「……離せ…」

薄っすらと潤んだような瞳をしてリヴァイを見つめると、
頬に手を添えてぎこちなく唇を重ねた。
そっと唇をねじ込もうとしても、中々唇を開かないリヴァイがじれったくて、
エレンは舌先を強引に割り込ませた。
徐々に応えるように互の唇と舌が腔内で絡み合い、うごめく。
舌の先で唇をなぞりまた深く口付ける。
そしてエレンは唇を離すと、頬にも何度も唇を落とし、
再び強くリヴァイを抱きしめて呟いた。
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