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欲灯
第6章 寝盗男
「この角度から眺めるのが好きなんですよ・・・・・・」

既に勃起力を取り戻しつつある伊藤が、マルの斜め後ろのソファからシャッターを切っていた。

「確かに・・・・・・淫靡な光景ですよね」

ぐったりと頭を垂らしたペニスのまま、伊藤の隣に座り呼吸を整えるキヨマサ。

「お・・・・・・マルくん、入った・・・・・・喪失ですね・・・・・・」

小声で感動する伊藤に「はい、ありがとうございます」と自分の事のように感謝の意を表すキヨマサ。

二人はマルが集中出来るようにと、少し距離を置いて静かに見守った。





「キヨマサさん、もう一発いきましょうね? えへへ」

「え・・・・・・いいんですか? もちろんですよ! あっと、その前に一服・・・・・・」



「あ、そのライター使っていいですよ」

と、伊藤はテーブルの上の、ロウソクを点火する際に使用したジッポライターを指差した。

「あ、すみません・・・・・・『キン』『シュボ・・・・・・』・・・・・・お洒落なライターですね、林檎ですか。禁断の林檎、でしょうかね」

物珍しそうにライターを眺めるキヨマサ。

「ああ、それ・・・・・・誰のでしょうねえ・・・・・・」

「え!? 岬さんのでは・・・・・・?」

「僕も妻も、タバコは吸わないんですけどねえ・・・・・・」

「え? はい」

「車のドアポケットにあったんですよ。妻に貸した、僕の車のドアポケットにね」

「え!? それって奥さん・・・・・・誰かを乗せたって事・・・・・・ですかね?」

「でしょうね、男でしょうね。なんか後部席のシートにシミもついてましたしね・・・・・・」

「そう、ですか・・・・・・じゃぁこのライターは、憎き『間男』の物ですね!」

「いやまぁ・・・・・・妻とセックスしなくなってからは僕もミイちゃんとしてますからね、実際、文句は言えませんよ。かと言って、持ってても、ねえ・・・・・・キヨマサさん、いります?」

「いえいえいえ・・・・・・間男のライターはさすがに・・・・・・ここに忘れていきましょう、ここに」

そう言ってキヨマサはテーブルの上にライターを置いた。
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