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欲灯
第6章 寝盗男
机の上のライターを手に持ち、フタを開け、火をつける。

「でもねキヨマサさん、黙っていた方がお互い幸せって、あるでしょ?

何でもかんでも馬鹿正直が正解って事も無いじゃないですか。

つかなきゃいけない嘘、大切な嘘ってものもあるでしょう。

嘘もつき続ければ、やがてそれが真実になるって言うでしょう・・・・・・。

ま、言い訳でしょうけどね、あはは。

でもまぁ、だからね、僕は見なかった事にしようと思うんです。

またドアポケットに戻そうと思うんですよ。

お互い、わかっていても夫婦を演じる。恋人を演じる。幸せ者を演じるわけですよ。

そういうのも、ひとつの男女の形だとは思いませんか?」



「・・・・・・なるほど・・・・・・まぁ、そうですよね、わかります」



「ええ。まさかこのライターも、ご主人様の手を離れてこんな所に来て灯されるなんて予想だにしなかったろうなぁ・・・・・・あはは」



「確かに・・・・・・そうですよね」



「これまで色んなもの照らしてきたように、これからも色んなものを照らすんだろうな・・・・・・」



「ですね。うん、さすが深い事おっしゃいます。まさに『岬タケル節』ですね」





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