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碧い雨の夜に…
第4章 【感情的に……】
皆でモニターチェックして意見を出し合う。
細かい修正も難なくクリアー出来て予定通り終了した。
後はプロの編集作業後、MVをSNS上で公開する。
どんな仕上がりになっているのか私たちも楽しみ。
そしてまだまだ続く撮影はテレビ出演だ。
勿論、生放送ということで失敗は許されない。
その為にギリギリまでリハーサルを重ねる。
スタッフチームもプロ集団なのでカメラワークを踊りに合わせて一番良いアングルを瞬時に切り取ってくれる。
バックダンサーなのに同等の扱いでスポットが当たるもんだからこんなにワクワクすることはないでしょ。
トークはないとしても、生放送の音楽番組はいつもより緊張する。
楽しそうに話していたと思えば私たちの前に戻って来た彼は誰よりもプロフェッショナルな顔をしている。
負けてられない、そんな気がした。
そして、MV及び生放送での初披露が大反響を呼んだ。
トップニュースへとトレンド入りして、案の定バックダンサーたちも日の目を浴びることとなる。
(誰!?こんなダンサー何処に居たの)
(日本人!?凄い、キレがあって格好良い)
(うわ〜!私の推しにー!)
(ムカつく!と思いきや、あれ、こんな可愛かったら逆に推しになっちゃう)
(このダンサーさん名前は?どこで活動されてますか?)
(ダンサーさん、インスタしてたら教えてください)
早速事務所にも問い合わせが殺到しているそうで、日本に居るダンサー仲間もかなり興奮してくれている。
密着ショットだけを切り抜きされて最初は戸惑ったけど、アンチ以上に多方面から褒めてくださっていて何とか生きて帰れそうだ。
流石、情報が出回るのは早い。
練習スタジオに記者らしき人が数人張り付いていて無名の私たちですら写真を撮られて事務所と交渉している。
申し出る会社はまだ全然マトモで、無断で使われるのがほとんどだとか。
「まぁ、こちらもそれに乗って名前を売る良い機会だと思えばWin-Winなんだけどね」ってオーナーも半ば諦めている。
悪用だけは見つけ次第法的措置を取るとのこと。
ていうか、私たちの写真なんてどう悪用するんだか。