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碧い雨の夜に…
第4章 【感情的に……】
一瞬、何を言われたか真っ白になったけど「ハイ!」と元気良く答えていた。
他のメンバーが見守る中で、主役と2人のパートが急遽追加されたのだ。
(待って待って待って、コレ2人で踊るの?私と?え、めっちゃ近いよ、めっちゃ良い匂いするしヤバっ……死ぬ)
切り替えろ、切り替えろ……と自分を鼓舞する。
真剣に振り付けを覚える私たちをシーンとした中で周りも見守ってくれる。
(ヤバい、セクシー過ぎる、私じゃ役不足ですゴメンナサイ)
腰に手は回るし真後ろでくっつきながら腰ヒットさせるし、挙句の果てには首に手を回し額をくっつける密着ショットもある。
一通り覚えた後で
「あの、私、生きて帰れますか?」と言ったらジョークだと思われ笑われたけど8割本気です。
ファンの方に申し訳ないと懸念したが(いや、アンチ対象でしょ)
笑って一蹴され「ダイジョウブ、アタラシイ僕ヲシッテモラウチャンスナンダ」って悩殺ウィンクされて死んだ。
振り付けとなれば遠慮なくさせてもらうけども。
「イイネ、オドリダシタトキノ真剣ナ目、ソノ目デキミダトキメタヨ」
「ありがとうございます、頑張ります」
追加パートを組み込んで即興で繋げていく作業。
フォーメーションの急な変更には慣れてるメンバーたちだ。
すぐに上書きして覚えていく。
リハーサルとはいえ、首に回す手、緊張で震えちゃった。
鏡に向かってアングル確認もするので密着したままストップも。
何でもないフリしてダンサーの顔してるけどメンバーにはお見通しだ。
耳だけ赤くなるんだよね。
髪を掻き上げた時に見えちゃう。
ドキドキよりも(わ〜ごめんなさい)という気持ち。
仕事なんですって誰に向かって心で叫んでるんだか。
私だけでなく、他のダンサーとも絡むシーンもあり当たり前だけどその瞬間は一流のプロフェッショナルを見せつけられた気がした。
負けん気の強い私たちはそれに感化され食らいついていく。
正直、楽しいよ。
もっともっと踊っていたい。
本番まで3日。
衣装も合わせてフルメイクして格好良くキメる。
まるでおとぎ話に迷い込んだかのようなセットの中でプロモーションムービーの撮影は行われた。
衣装チェンジもあって3パターンを2日かけて撮った。