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碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「1、2、3、4……5、6、7、8、はい、最初から〜」
某ダンススタジオで上・中級者向けにヒップホップダンスを教えるインストラクターが今の大半の仕事。
鏡張りの前で生徒20名ほどに指導しながら、週に2回ほどオーナーしている友人の助っ人として入っている。
お声が掛かれば誰かのバックダンサーとして舞台やコンサートにも立つし、チームを組んで大会に出ることもある。
プロのダンサーにはなったけど刺激を求めてまた海外留学するのも良いかなって思っていた矢先。
「なぁ、理世、俺等さ……やっぱり元の関係に戻らん?別れよう?」
突然皆の前で何を言い出すんだと、昔からの腐れ縁で一緒に居る幼馴染みのアキラがまたいつもの悪ノリで周りを驚かせている。
仲間内でストレッチ中に色々とぶっ込んでくる。
「いやいや、うちらいつ付き合った?」
「もう隠し通すの無理あるだろ〜まぁ、明日で付き合って1年なんだけどさ、やっぱり元の関係に戻ろうかなって」
またいつものが始まったと、周りもニヤニヤしだすから困ったものよね。
私はいつまでこのノリに付き合わされるんだろう。
呆れて笑うしかない。
後輩ちゃんも「いつの間に付き合ってたんですか〜?いつも仲良かったからアレレ?とは思ってましたけど」とかノってくる。
「おい、別れたんじゃなかったの?俺とは?」って他のダンサー仲間も悪ノリし出すし。
まぁ、こんな会話を繰り広げながらも着々と念入りにストレッチしている私たちなんですが。
私が終わらせないと終わらないみたいなんで。
「あのさ、こんな風になるからさ、私が同職の人間と恋愛しない理由がコレなワケなのよ」
「アハハ!ウケる、全員フラれてんじゃん」
「告られてもないわ、勝手に盛り上がって勝手にカップルにされて勝手に玉砕してんでしょ?毎回それやってて楽しいの?バカじゃん」
つられて私も笑う。
「いや、アキラと理世さんの掛け合いが本当絶妙で空回り気味のアキラさんがめちゃくちゃ俺的にはツボです」
「おい、それ褒めてんのか?上げて下げるなよ!コンニャロー!」
後輩にもこんなキャラだからすぐ打ち解けあって仲良くて誰からも愛されるアキラもプロダンサーの1人だ。