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碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「まぁ、理世が別れたくないって言うんなら考えるよ?だからもっともっと2人きりの時は甘えてきて欲しいな」
「はいはい、そうするね〜」
適当に流すのもお決まりで頭の中がダンスに切り替わった私と頭の中がまだお花畑なアキラと組むのは癪に障るけど、音楽が掛かればまるで一心同体。
磁石のように引かれ合って身体をくねらせる。
2人で息を合わせたダンスに周りは息を呑む。
(さっきまでのおフザケが嘘みたい)
(もう本当に付き合っちゃえば良いのに)
(アキラくんもうひと押しだよね?)
(勝手に撮っちゃお)
(マジで格好良いっす、あの2人)
カメラに気付いて照れる私にもサービスショットするアキラにも皆が興奮してくれて声援をくれる。
ただのウォーミングアップなのに打ち合わせして即興で踊っただけで懇親のいいねポーズしてくれるんだもんな。
どんなに仲良くてふざけててもダンスのことになればどちらも真剣だ。
ダンスでふざけたら一番私の逆鱗に触れるってアキラは知ってくれているから。
それだけ付き合いは長いってやつ。
LOVEではないけどね。
最後キマったところで
「あーやっぱりお前が好きだー!」と床に寝そべるアキラに水を渡す私。
こんなに意思表示してくれるのはアキラくらいだよ。
全く響かんのだけれども。
付き合えって周りに何度言われたことか。
もう意地でもあるのは認める。
絶対に付き合わない。
好きなダンスがやりにくくなるのは嫌だしアキラとの関係性は今のままが一番良いって思ってる。
「あ〜好き」とか軽く言ってくるし。
「お、ありがと」しか返せないよ。
「集合〜!動画撮ろう〜!」
誰かがそう言うと皆は集まって短い動画を撮って後で編集してSNSにあげている。
緩いダンスも激しいダンスも、既存のものも踊るしオリジナルの振り付けも。
「青いキャップの人可愛いってコメントめっちゃきてる!さすが理世さん」
「え、え、俺は!?」
「アキラさんは………ないっす、今のところ」
「何で理世だけなんだよー!」
「アキラ、煩いよ」
すぐにじゃれ合う私たちを周りはくっつけたがる。
全然そんなんじゃないのに。