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碧い雨の夜に…
第2章 【本能的に……】





改札を出たらさり気なく車道側を歩く。




「ナオってお姉さんとか妹とか居る?」




「ううん、ひとりっ子だよ」




「そうなんだ」




女の扱い、どこで覚えたんだ。
チラホラ私の顔を見てくるナオを未だ直視出来ない。
王子様かよ、K-POPアイドルかよってずっと頭の中で繰り返してた。




「わかった、リセちゃんの前だけにする、他の人が見たりするところでは女の子で居るね?その方がリセちゃんとラブラブ出来るもん」




「あっ、いや………そういう訳じゃ」




ないけど、次の言葉が出て来ない。
ダメだ、ただの構ってちゃんだ。
だってただただ拗ねてるみたい。
コレは、このビジュアルはダメ。
絶対にモテる。
誰も放っておかないよ。
自分の魅力わかってる?
気が気でないのはそのせいだ。




嫌なんだ。
誰かがナオを見て釘付けになってるのが。
格好良いって思わず声に出しちゃってるのが。
ジロジロ見て、もっと格好良いとこ探してどんどん見抜かれちゃうよ。
格好良いだけじゃなくて、可愛いところも全部気付かれちゃうのが嫌だ。




女の子の格好をしてればナンパされても男だと言えば怯む。
でも女の子が来ちゃったら………
ナオが私以外に好意を持っちゃったら………
そんなことないって言われてもそれは100%じゃない。




え、ちょっと待って、自分………こんな器小さい人間だったのか。
恐ろしいほどヤンデレじゃないか。
独り占めしたくて仕方ない。
私の元に降ってきたから。




でも、そんなこと言わせたいんじゃないのに。
私を驚かせようと頑張って綺麗だった髪を切って変身してくれたんだよね。
失敗じゃないよ。
撃ち抜かれてる。




「コンビニ寄る?アイスは?」




いつも時間があれば寄ったりしてた。
その前を手を引いて早歩きする。




「あれ?行かないの?リセちゃん?」




急いでマンションに帰って来た。
何が何だかわからないよね。
ごめんね、面倒くさくって。
エレベーターに乗り込んで終始無言。
怒ってる?って思ってそう。




「ごめん……」




「どうして謝るの?」




「なんか、子供みたいなことしてるから」




「リセちゃんはリセちゃんだよ、子供じゃない」




エレベーターから降りて鍵を開ける。









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