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Biastophilia💋
第1章 Biastophilia
そして30歳を迎えたある日、彼との愛人関係は唐突に終了した。
「ご苦労様だった。」って一言、社長室で言われただけ。
別に何とも思わなかった。
利用価値が無くなった段階で、
関係に終止符が打たれると分かっていたし、
彼自身に対して私は、強い愛情を抱いていなかったから。
だから激しい憤りも無くて、関係終了の理由も聞かなかった。
頭を仰々しく下げて、作り笑顔を浮かべてお礼を言って、実にあっさりとした別れ方をしただけだった。
それから約1年後、
私はAV女優を辞めて、歌舞伎町の高級SMクラブへと移ったの。
まだ仕事のオファーもあったし、AV女優としての人気も低迷していたわけじゃないけど、いつか10代、20代の若い子に抜かされて、企画女優に転落するのは時間の問題だと悟り始めたから。
だからさっさと引退して元AV女優の肩書を生かして風俗で働こうと思ったの。
私の引退を惜しむ声が彼方此方から出たし、プロダクションの社長からも、直々にご挨拶を頂いた。
挨拶と一緒に、クリスチャンルブダンのパンプスも頂いたの。
「千秋さん、本当に社長の愛人だったんですね。」
社長室を出てすぐに、ある男性スタッフの方に呼び止められた。
「ええ、とても可愛がってくれました。」
私の手荷物を見て驚愕の表情を浮かべたままの彼の耳元に、そっと囁くと、数多の男を虜にした魅惑的な笑顔を浮かべた。
そして顔を赤くしたまま立ち尽くす彼を一人残して、私は立ち去ったの。
きっと翌日、噂になっていたと思うけど、
AV女優を辞めた私にはどうでもいい事だった。