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激しくしないでっ!
第7章 エピローグ
「せっかくおやつが届いたし、休憩にしましょ」
「はーい」
今日は一応勉強会という名目だけど、俺の勉強を、裕美ちゃんが見てくれている感じだった。
彼女は成績がすこぶるいい。五教科の成績は学年で五位以内をキープらしい。
一方俺は……まあ、平均周辺をぐるぐる。
そんな俺と勉強会なんてやったって、邪魔になるだけなんじゃないかな、と心配になる。
「尚人くん」
「くん付け禁止」
「尚人……さん」
「もっと他人行儀じゃん」
「ひさ……ちゃん?」
「……なんで最後疑問系? まあ、それなら許す」
裕美ちゃんはにっこりと笑った。
そういうほっとしたような顔をされると、ぎゅっとしたくなるから困る。
「で、何?」
「夏休みは、いろんなところに行こう? 私も、ひさちゃんのこといっぱい知りたい。――好き」
俺は驚いて目を見開いた。
今まで、彼女の方からその言葉を言ってくれたことなんてなかったから。
いつだって、俺の言葉や精いっぱいの愛情表現を、からかいを含んだ眼差しで見つめてくるだけだったから。
彼女が、照れたような微笑を浮かべる。
俺もつられて笑った。