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激しくしないでっ!
第1章 プロローグ
――どうしてこんなことになったのか。
俺の頭にはいくつもの疑問符が浮かび、ぐるぐるとまわっている。
「と、とりあえず落ち着いて!」
俺は目の前の彼女――涼川裕美(すずかわゆみ)に向かって必死に両手を振り、制した。
でもダメだ。
彼女は顔を真っ赤に上気させ、色っぽい吐息を吐き出しながら、俺の上に跨がってくる。
「何してんのっ!」
「だ……ダメ、谷口くん……っ、私もう我慢できない……! 体、熱くておかしくなりそうっ……」
「ええ!?」
「お願い……逃げないで。私のこと嫌い?」
潤んだ瞳で吐息混じりに言われ、俺はぶんぶんと首を振る。
嫌いなわけがない。
長い綺麗な黒髪。絹のような白い肌。黒目の大きい二重の目。赤く熟れた唇。
彼女はすごく美人だし、頭も良くて性格もいい。学校じゃマドンナみたいな扱いだ。
彼女を嫌う男なんていない。
そんな彼女に迫られて、俺だって、欲情を抑えるのに必死なんだ。
「だったら……」
彼女の唇が、俺の唇の間近に迫る。俺はゴクリと喉を鳴らした。